2026.10.01

最近、AIを使っている会社がずいぶん増えてきました。私のコンサル先に限って言えば、ほぼ100%がAIを使っている、と言っても過言ではありません。この数カ月で、どの会社も何かしらの実証実験を始めています。
そこで今回は、もう一段ギアを入れて考えてみたいと思います。
「AIを使っている会社」と「AIを使って成果につなげている会社」。
一見、同じような表現ですよね。でも、コンサル現場で起きていることを見ていると、この数カ月で明らかにこの2つのパターンに分かれてきたんです。これが現場の実情です。
このタイプの会社は、人の作業――要するに面倒くさい作業――をAIに置き換えて、時短につなげています。作業の効率化は確実に進んでいる。これは事実です。
とても大切なことなんですが、そこで終わってしまっているケースが本当に多い。これがとても残念なところです。
現場からも、経営者からも、よく聞こえてくるのがこの言葉です。
「作業は楽になった。でも、それ以上の成果が出ていない」
作業が楽になって、スタッフの負担が減る。そこまではいいんです。ただ、会社というのは売上や成果を出していかないと評価されないわけですよね。効率化だけで止まってしまうと、AIは「ちょっと便利な道具」で終わってしまいます。
一方で、同じようにAIで効率化を進めながら、売上の獲得や経費削減といった成果にきちんと到達している会社があります。
何が違うのか。実はすごくシンプルです。
効率化によって時間が生まれますよね。その生まれた時間を、成果につながる行動(戦略実行のアクション)に発展させているかどうか。これだけです。
言葉にすると簡単そうなんですが、実はこれができていない。生まれたはずの時間が、気づかないうちに日常業務に吸収されてしまうんです。
成果を出している会社は、AIを使って戦略実行のアクションを数多く回し、売上につながる行動を積み重ねています。これがまさに「AI時代に強い会社」へ進化している姿です。
私がコンサルしている会社の中から、実際に成果につなげている一社をご紹介します。
この会社は、木材をお客様の指定サイズにフリーカットして販売するECサイトを運営しています。樹種を選び、サイズを指定し、加工方法を選ぶ。複雑なオーダーができる分、ユーザーに「選ばれる要素」がとにかく多いビジネスです。
つまり「競合他店の調査」と一言で言っても、比較する要素が非常に複雑に絡み合っているんですね。
従来はスタッフが競合サイトを一つひとつ見ながら、一定の条件を入れて価格やサービス内容を調べる、ものすごく時間のかかる作業をしていました。これをAIで自動化したわけです。
ここまでは「AIを使って効率を上げた」段階。先ほどの「AIを使っている会社」と同じです。
この会社はそこから、もう一歩進みました。
これは「行動」です。行動があるから、実際に売上という成果が出始めているんです。
本当は結論から先に言わなきゃいけなかったんですが、改めて整理します。
AIの活用は、当然ながら競合他社もやってきます。その中で「うちはAIを使っていますよ」というレベルに留まるのではなく、効率化を土台にしたうえで、さらにもう一層上のレイヤーで競合と渡り合っていく。これが「AI時代に強い会社」です。
そして現場を見ていて気づくのは、その一段上のレイヤーを担っているのはツールではなく人だということ。成果を出している会社には、必ず「メタスキル人材」がいます。
メタスキルとは、「特定のツールの操作スキル」ではなく、ツールを目的のために使いこなす、その上位にあるスキルのことです。具体的には次の力を持った人材を指しています。
先ほどのEC会社で言えば、「競合調査を自動化した」ところまではAIの力ですが、「それを見える化して、何を改善するかを決めて、動いた」のはメタスキル人材の力です。
「うちはAIを使っているからOK」ではなく、
「AIを導入し、それを成果につなげる行動ができるメタスキル人材を育てる」
ここに気づけるかどうかが、分かれ道だと思います。
コンサル現場で、成果が出ている会社の行動を間近に見ながら、「AI時代に強い会社って、こういう会社なんだな」と実感したレポートでした。
AIを使い始めた今だからこそ、もう一段ギアを上げて、「生まれた時間を何に使うか」「それを担う人材をどう育てるか」を考えてみてください。